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開業医が知っておきたい!クリニック集患広告の始め方

こんにちは。

開業しても患者さんが来ないと意味がないですね。
特に競合の激しい都内では広告の活用は必須と言えます。

ただし、いつまでも広告に頼りっぱなしでは健全な経営とは言えません。
売上高広告費比率は時間経過とともに下げていくべき、というのが筆者の考えです。

本記事では、広告を活用するにあたってのポイントをお伝えします。

目次

1. 集患広告が必要なクリニックの見極め方

集患に課題を抱えるクリニックであれば、「とにかく広告を出して患者さんを増やしたい」と考えがちです。しかし、広告を出す前に確認していただきたいのは、自身のクリニックが広告を活用すべき段階かどうかです。広告を強化しても、下記のようなポイントが整っていなければ、期待する効果が得られない場合があります。

  1. 診療体制・院内リソースは十分か
    広告を出した際に新患が増えると、既存患者さんへの対応が手薄になったり待ち時間が長くなったりするリスクがあります。診療スタッフの人数や院内のオペレーションが、想定以上の患者数に対応可能かどうかをまず確認しましょう。そもそも現状集患はできている、という状態であれば広告は必要ではないかもしれません。
  2. クリニックの独自性(ブランディング)は確立しているか
    どの患者層にどういう医療を提供したいのか、明確なコンセプトがあるかを見直してください。患者さんは「どんな特徴を持つクリニックか」を感じ取れると、広告を見て実際に来院する動機づけが強まります。
  3. 集患エリアの特性を理解しているか
    自院の周辺にはどんな人口構造があるのか(高齢者が多い、ファミリー層が多いなど)、他院との競合関係はどうなっているのか、交通アクセスの特性はどうか。これらを把握しておくことで、広告戦略に一貫性を持たせられます。

これらを整理し、自院の強みを打ち出す準備ができている先生ほど、広告投資の効果を得やすいといえます。
広告は「出したら来る」といった単純なものではありません。上記の内容は最低限クリアにしてから考えましょう。


2. 集患のための広告費用の比率の考え方

広告費の決定には、まず年間の売上・目標利益とのバランスを考慮する必要があります。飲食や小売などの業界では「売上の〇%」といった広告費の目安がよく使われますが、医療機関の場合も同様の考え方が一部適用できます。ただし、保険診療と自由診療の比率や、開業してからの年数によっても広告の必要度は変化します。

  • 一般的な指標
    クリニック全体の売上に対して、約10%-15%程度を広告費に充てるのが一つの目安といわれます。開業初期や新たな専門外来を立ち上げるタイミングなどは、この比率は必然的にもっと高くなります。一方で院長に知名度がある、特定の強力な集患チャネルがある(SNSなど)といった場合には広告比率がもっと下がることも珍しくありません。
  • 投資対効果を常に検証する
    単に「業界の平均」があるからといって、それに盲目的に合わせるのは危険です。費用対効果を測定し、費用に見合う来院者数増や認知度向上が得られているかを、定期的に数値化して振り返りましょう。広告の効果がなければ、広告費は“費用”ではなく“無駄”になってしまいます。
  • 自由診療のクリニックの場合
    自由診療の比率が高い場合は、広告における“収益還元率”が保険診療よりも高い傾向にあります。そのため、広告予算を積極的に投下して短期間に多くの新患を集め、リピーター化や紹介を生む、という戦略も有効になるケースが多いでしょう。

3. 集患のための広告媒体の選び方

クリニックの広告媒体には、さまざまな選択肢があります。代表的なものを以下に挙げますが、地域やクリニックの強み・特徴によって、有効な媒体は異なります。

  1. WEB検索広告(リスティング広告・検索広告)
    インターネットでの情報検索が当たり前となった今、最も費用対効果を追いかけやすいのがWEB広告です。「内科 〇〇駅」「美容皮膚科+地域名」など患者さんが実際に入力するキーワードに対して広告を表示し、クリック数をもとに費用を支払う形式が主流です。ターゲットが検索行動を起こした時点でアプローチできるため、来院の意欲が高い層を獲得しやすいメリットがあります。
  2. チラシ・ポスティング・新聞折込
    高齢の患者層が多い地域や、開業周知のために近隣エリアへアナログ媒体を配布するのも依然として有効です。特に新規開業時やリニューアル時などは「近所にあること」を知らせるだけでも集患効果が期待できます。ただし、費用対効果の測定がやや難しい点は留意が必要です。また地方ではこれらの紙媒体だけで十分なケースもあります。
  3. 看板広告・交通広告
    駅やバス停の看板、電車内広告など、クリニックの認知度を継続的に高めるには有力な手段です。特に駅からの導線が明快である場合は、「駅近」「◯分で到着」など具体的な情報を大きく載せるだけでも注目度が増します。一方で広告効果の測定が難しいことが難点です。印象的な広告が作れれば地域の認知を獲得することができる有効な施策です。
  4. SNS広告(Instagram・LINE・Twitter/Xなど)
    SNS広告では患者が使用しているSNS媒体に広告を出稿することが可能です。検索広告と異なり、届けられるユーザーはただSNSを眺めている人です。そのため興味をひいてもらうのにコツが要りますが、検索層ではカバーしきれない膨大な潜在層にアプローチできることが魅力です。ビジュアルで画面も独占できるため競合と直接比較されることも少なく、うまく活用できると重要なチャネルとなります。

4. 集患を目的とした広告運用のポイント

広告は「出せば終わり」ではなく、出した後に結果を検証し、改善を繰り返すことが重要です。以下の点を押さえておきましょう。

  1. KPIの設定と計測
    来院件数、WEBサイトの予約数、広告ごとの電話問い合わせ件数など、具体的なKPI(重要指標)を設定し、計測できる体制を整えます。測定ツールの導入やスタッフへの指導を行い、正確なデータを取得できるようにしましょう。
  2. ターゲティングの最適化
    WEB広告であれば、地域や年齢、興味関心を絞って配信を最適化できます。見込みの薄い層への無駄な広告費を減らすことで、費用対効果を高めることができます。
  3. クリエイティブ・広告文言の検証
    クリニックの特徴を端的に表すキャッチコピーやビジュアルを複数パターン用意し、反応の良いものを採用し続ける「ABテスト」を繰り返しましょう。「誰に」「何を訴求するのか」の軸がブレないように、ブランディング方針との一貫性を保つことが大切です。
  4. 継続的なPDCAサイクル
    広告運用は常に**Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Act(改善)**のサイクルで回していく必要があります。特に医療業界では季節性(インフルエンザシーズンや花粉症など)も影響しますので、そのタイミングに合わせた広告展開を心がけましょう。

5. 広告は代理店と内製化どちらが良いか

広告運用は、代理店に依頼するか、自院で内製化するかの2パターンが考えられます。それぞれにメリット・デメリットが存在するため、クリニックの方針やリソースに合わせて選びましょう。

代理店に依頼するメリット・デメリット

  • メリット
    • 広告運用のプロに任せることで最新の知識・ノウハウが活かせる
    • メディアとの価格交渉や枠の確保を有利に進められるケースがある
    • 運用レポートや効果測定が体系化されている場合が多い
  • デメリット
    • 手数料や運用フィーが発生するためコストが高くなりやすい
    • クリニックの独自性や専門性が十分に伝わらない可能性がある
    • 自社にノウハウが溜まりにくい

内製化のメリット・デメリット

  • メリット
    • クリニックのブランディング方針やコンセプトを直接反映しやすい
    • スピーディに広告内容を変更・調整できる
    • 運用ノウハウが蓄積され、将来的なコスト削減が期待できる
  • デメリット
    • スタッフの手が足りなかったり、広告運用の専門知識が不足していると成果が出にくい
    • 新たなスタッフを採用・育成する場合は時間や人件費がかかる
    • 最新の広告技術や媒体特性を常にアップデートする必要がある

多くのクリニックでは、開業当初や新たに広告予算をかけ始める時期は代理店に任せ、ある程度軌道に乗ったら運用の一部または全部を内製化するというハイブリッドな選択肢を取ることが多く見られます。著者としては「デジタル担当」を一人採用してその方と内製化を進めていくことを推奨しています。


まとめ

広告は、クリニックにとって患者さんとの接点を作る重要な手段です。一方で、広告に先立って診療体制やブランディングの見直しが必要であることを忘れてはなりません。広告費の垂れ流しだけは絶対に避け、投資対効果をしっかり追うことが大切です。また、WEB広告だけでなく、チラシや交通広告など地域性やターゲット層に合わせた媒体選びも重要な要素となります。

広告運用は「出す→結果を見る→改善する」を繰り返すPDCAサイクルが基本です。代理店に依頼して効率よく始めるか、内製化でクリニックのブランディングを活かしつつノウハウを蓄積するか、もしくは両方のいいとこ取りをするか。ぜひ自院の状況と目標に応じた方法で、広告施策を最適化していただければと思います。

広告はあくまでも「患者さんにクリニックの良さを知ってもらう」ための手段です。医療の質と患者満足度の向上に真摯に取り組みつつ、効果的な広告を組み合わせることで、安定した集患と地域の健康増進に寄与できるクリニック経営を目指してください。

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